■【 筋膜とは 】
「筋膜」という言葉は、最近テレビでもよく取り上げられるようになり、興味関心を持つ方も増えていると思います。私たちの身体の表面は「皮膚」によって全身が覆われていますが、実は、身体の表面だけでなく皮膚の下には、何層もの膜構造が存在しています。筋肉も体内でむき出し状態になっているのではなく、繊維の組織によって表面を覆われています。これが「筋膜」です。
「筋膜」は私たちの生命活動を維持する上で、とても重要な役割をしています。「筋膜」には骨や臓器だけでなく、血管や神経と結びつき、からだを内側から支える役割があります。
ちょうどテントを支えるシートやロープ、骨組みのようなもので、表面からは見えませんが身体の内側で身体を支えてくれている存在なのです。
身体の表面は皮膚によるコーティング、皮膚の内側は真皮でコーティング、更に筋肉や臓器も「筋膜」で覆われているのです。全身の筋肉や臓器を覆っている「筋膜」は二層構造になっています。
浅い部分の筋膜を「浅筋膜」、筋肉を直接覆っている深い部分を「深筋膜」、または「筋筋膜」といいます。
英語表記では
Myo:筋 + Fascial:筋膜 = Myo Fascial(筋筋膜) です。
私たちは通常、深筋膜を指す「筋筋膜(Myo Fascial)」と言い表わしますが、ここでは、深筋膜のことを指す筋筋膜と浅筋膜も含めて「筋膜」と統一して呼ぶことにします。
【 筋膜と肩こり・腰痛の関係 】
身体を支える大事な働きは、筋骨格系と体の中の内圧です。
内圧に関しては、また改めることにしますが、「筋肉が大事」という認識は皆さんお持ちでしょう。だからこそ、筋トレをしたり、ストレッチをしたり、マッサージをしたりなど、筋肉に対するケアという考え方は定着していると思います。 また、骨格という意味では、骨盤や背骨のゆがみ、姿勢に対する関心も高いと思います。
これらはすべて大事なのですが、腰痛や肩こりの症状を改善していく為には、
【筋膜】をどの様に処置するか?ということがポイントになります。
筋肉骨格構造で身体を支えるのは間違いないのですが、あなたの身体の中では、筋膜が支えていてくれています。筋肉を覆っている筋膜の緊張程度にトラブルが出ると、肩こり、痛み、身体の深部での慢性的な違和感が発生します。ここで、スーパーで買うお肉を思い浮かべてみてください。普通一般的に「お肉」と呼んでいますが、「お肉」とは動物の筋肉のことです。
このお肉・・の表面に白っぽい、半透明の薄い膜があるのをご存知でしょうか?
骨付きの鶏のモモ肉を広げてみると、膜状態でへばりついているもの、あれが、筋膜です!
お肉で言えば、ひとつずつの肉をラップで包み、更に、他の肉もラップで包んでいきます。こうして肉をラップで包んだ後、いくつもの肉を重ねておくと、ラップ同士が「くっつく」ような「ひきつれる」「ひっかかる」感じ・・イメージできますか?一枚のラップとラップの間に、オイルでも塗ってあれば、なめらかに動くかもしれませんが、ラップ同士がくっついてしまうと、引きつれたり、ひっかかったり、スムーズに動けない状態が発生します。
実際に私たちの身体の中でも、筋膜は、頭から足の先まで体の内側に張り巡らされ、中継点でお互いが連結して全身でつながっています。頭のてっぺんから首、肩甲骨、背中、おしり、骨盤、足などがそれぞれひとグループ、更に、お互いが大きなひとまとまりのラップで包まれている、筋膜とは、そのようなイメージです。
ここで問題になってくるのは、これらの筋肉を包むラップ同士のくっつき、ひっかかり、引きつれです。じつは、これが肩や背中、腰の【コリ】の隠れた犯人です。
現に、あなたの体の中でも、すでにこの様な状況が発生しているかもしれません。
骨盤・背骨・首のユガミが、コリや痛みの原因となるのは間違いのない事実です。しかし、慢性的な肩こりや、筋肉のコリを除こうと思うならば、この「筋膜」へのアプローチが絶対に必要です。
それでは、次の項目で筋膜リリース、筋膜はがしについてご説明いたします。
■【 筋膜リリースとは 】
筋膜リリースとは、筋肉を覆う「筋膜」のねじれ、つっぱり、引きつれ、収縮(拘縮)を、リリースするテクニックのことを言います。筋膜リリースは筋肉や内臓等を覆っている筋膜のはり付いた状態を「引き離す」という意味合いから「筋膜はがし」と呼ばれることもあります。「筋膜リリース」と「筋膜はがし」では名称は異なりますが、筋膜のつっぱり、引きつれ、収縮、拘縮を体に負担をかけない方法(ストレッチなど)によって「リリース(開放)」「はがす」技術です。実際に、内臓や筋肉から、強引に引っ張って剥がしてしまう、なんてことはありませんので、ご安心ください。
上述しましたが、筋膜リリースは
Myo = 筋
Fascial =筋膜
Release =開放
Technique=テクニック
日本語では 「筋膜リリース」という呼び名が一般的ですが、
「 Fascial Release 」とは言わず、筋筋膜リリーステクニック「Myo Fascial Release Technique」と表記します。
余談ですが・・・
「お顔と首の筋膜をリリースして、小顔にします!」と銘打って、(Facial Release)と表記しているサロンがありますが、
FascialとFacialはちょっと 違いますから、お間違えのないように。(^_-)-☆
「筋膜」へのアプローチ自体は、何も目新しいものではなく、昔から、様々な方法で試行錯誤されながら広く行われてきました。
独立した特別な療法というよりも、手技療法の補助的な役割を果たす一つのテクニックとて活用されてきました。最近になって、「肩こりはマッサージをしても治らない」と銘打って、「筋膜リリース」が注目されるようになりました。しかし、上手な先生は、筋膜リリースとわざわざ言わなくても、普通に筋膜の解放を行っています。
肩こりは揉んでも治らない! こんな風に言われると、強力なキャッチコピーになるでしょう??
コリで悩む人はたくさんいますが、実は筋肉をマッサージしたり、もんだり、ストレッチしたり、するだけでは楽にならないことは昔から言われていることです。
マッサージやストレッチをすることに意味がないのではありません。「意味がない!」という人には、そのように言うことで得られるメリットがあるからです。
マッサージや整体、カイロといった名称は山ほど有って、何が違うのか?どこが違うのか?さっぱりわからない~ということがあると思います。そこに、分け入って「特別感」を出すためには、「デジャブ感」のない、つまり、今まで聞いたことも、見たこともない、違う売り文句、売り看板が必要です。そこで、取り上げ出されたのが 「筋膜リリース」とご理解ください。
手技療法の中では、骨格矯正を行う前に、まずは筋膜リリースによる筋膜の開放を行い、
筋肉調整で骨格が自然矯正されるかを確認します。仮に筋筋膜リリースでの自然矯正が難しい場合には骨格への直接矯正をする、という考え方があります。
また、骨盤や背骨の矯正を行うことによって、筋膜の緊張が緩和されて、一瞬で動きが改善したり、痛みが消えたり、可動域が一気に拡大したりする、ということも決して珍しいことではありません。
最終的に、慢性的なコリを解決するためには、筋膜が解放された状態を作ることが必要です。その為の方法はいくつもあり、そのひとつが、【筋膜リリーステクニック】とご理解いただくのが正しい見方です。