くしゃみ姿勢における衝撃と負荷の回避について|東京都豊島区で腰・肩・脚のお悩みはJCC池袋整体院へ

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腰痛,ぎっくり腰,その他

くしゃみ姿勢における衝撃と負荷の回避について


当院代表の福井院長が【女性自身】より、花粉症の季節のくしゃみとぎっくり腰の関係について取材を受け、記事が掲載されました。
くしゃみをして、ぎっくり腰にならないように、頭の位置や肘を脇に付けるなど、くしゃみ姿勢について解説しています。

更に、このページでは古庄医師から、腰への負荷について、さらに詳しく解説していただきました。

【内容】

■荷物を持ち上げる時の腰への負荷について

■くしゃみをした時の腰への負荷について

■くしゃみによる腰の負担を軽減する姿勢について

■ 女性自身 4月1日号 p119でJCC池袋整体院が取材を受けた際の記事より許可を得て、イラストを引用し、解説して頂きます。

それでは、以下古庄医師の解説です
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■荷物を持ち上げる時の腰への負荷について

簡単なモデルで考えてみたいと思います。

くしゃみをしてぎっくり腰-図1JCC整体

壁に固定されている棒の固定部にかかる負荷として、
棒の長さをL

端点(作用点)に吊るされたおもりによる力をF

壁は鉛直方向に伸び、棒と壁のなす角をθとし

固定部周りのモーメント(M)を考えてみると

M=L×F sinθ

です。

棒の長さを二倍にすると・・
くしゃみをしてぎっくり腰-図2JCC池袋整体

M=2L×F sinθ

となり、2倍のモーメントが固定部にかかることになります。

式を見れば、Fが一定の時にモーメントを小さくするには

①Lを小さくする
②sinθを小さくする、

のいずれかが必要であると分かりますね。

次に、このモデルで固定部を腰、他端を肩として荷物を持ち上げているとしてみます。
くしゃみをしてぎっくり腰-図3JCC池袋整体

腰にかかるモーメントを低減するにはどうすれば良いでしょうか?

肩から腰の距離Lを一定とすると、変えられるのはθのみになります。
0°<θ<90°を想定すると、θを小さくすればsinθは低下します。


次に、頭部の重さが腰に与える負荷について考えてみます。
荷物を頭部に置き換えれば同様に考えることができます。
両脚が鉛直方向に伸び、その軸を中心軸として考えると、頭部が中心軸に重なる時以外は腰には常にモーメントがかかり続けることがわかります

(θ≠0ならばsinθ>0)



ここで少し話題を変えて、

■くしゃみをした時の腰への負荷について
考えてみます。

ここではくしゃみの腰への負荷として、

●くしゃみと同時に身体が前屈することによって頭部が生み出す腰周りのモーメント

●腹筋や肋間筋、横隔膜の急激な収縮による腹圧(P)の上昇

の2者を想定します。
くしゃみをしてぎっくり腰-図5JCC池袋整体

くしゃみによって生じる腹圧は姿勢によらず一定とすると、腰に加わる負荷は、左図でPとFLsinθ、右図でPとFLsin(θ/2)、となります。

単位が異なるので単純に和をとることはできませんが、Pが一定であることから、より大きな負荷を受けているのはモーメントのより大きい右図のときであると言うことができると考えられます。

ここで、

■くしゃみによる腰の負担を軽減する姿勢について

考えたいと思います。

腹圧の変化は必ず起こるとして、モーメントの低減に焦点を当ててみます。

上で長々と述べてきたことは、θを小さくする、すなわち、背筋を鉛直方向に近づけることで腰への負荷が軽くなるのではないか、という内容に尽きます。

これを元に下のイラストを解釈してみましょう。

正しいくしゃみ姿勢-女性自身よりJCC池袋整体
【女性自身 2025年4月1日号 p119】
 (JCC池袋整体院が取材を受けた際の記事より引用)


後頭部を1cm後ろにする、背筋を丸めない:
は、頭部による腰回りのモーメントの低減に寄与すると考えられます。

脇を締める、肘を脇につける:
は、肘や上腕部が中心軸からずれることによって、腕の重さにより発生する腰回りのモーメントを想定しているのかもしれません。

手を壁につく、膝を軽く曲げる:はどう解釈できるでしょうか。
一番最初の図1において、作用点から吊るされたおもりによる負荷としてモーメントを考えましたが、腰椎に加わる負荷として他に、(鉛直方向、水平方向の)反力が挙げられます。

これは棒が動かないために固定部に働く、モーメントとは別の力のことです。

手を壁につく、膝を軽く曲げると言う動作は、
鉛直方向
水平方向

それぞれの反力が壁、地面に効率よく吸収されることを目的とした動作、と捉えることができるかもしれません。


以上のことから
「腰に負担をかけないくしゃみの仕方」を参考にして、
花粉症の時期のくしゃみや、とっさの動作の時に腰を痛めない様、ぜひ気を付けてください。

この記事を書いた人


監修者の顔写真

医師:古庄星治 先生

東京大学 医学部卒

部活での怪我や体調不良により大学を中退するも、福井先生の元で治療を受けるとともに、医学に関する向き合い方を学び、再入学・卒業。 現在、医療現場に立ち、日々精進中。