※【要注意!】花粉症のくしゃみでギックリ腰? 「くしゃみ姿勢」で予防する|東京都豊島区で腰・肩・脚のお悩みはJCC池袋整体院へ

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腰痛,ぎっくり腰

※【要注意!】花粉症のくしゃみでギックリ腰? 「くしゃみ姿勢」で予防する

はじめに:

 春は新しい始まりを象徴する季節ですが、その一方で寒暖差や環境変化の要因による、体への影響も無視できません。

気温のアップダウンの変化が大きいこの時期は、より筋肉が硬直しやすくなり、関節機能の柔軟性の低下が私たちの体にさまざまな負担をもたらします。

    また、この季節は花粉症や黄砂の飛来がピークを迎え、突然のくしゃみが私たちの体に意外なリスクをもたらすこともあります。

そのひとつが「ぎっくり腰」。

小さなくしゃみの衝撃が、思わぬ腰の痛みに繋がることがあるのです。

そこでこの記事では、ぎっくり腰を予防するための正しい「くしゃみ姿勢」をご紹介します。
春を快適に過ごし、元気で健康的な新生活を送るためにも、ぜひ参考にしてみてください。

目次

1.くしゃみがギックリ腰の原因に?

「あなたは、くしゃみをして、ぎっくり腰になった経験はありますか?」
「くしゃみをした時、『腰が抜けそう・・』など、不安を感じたことはありませんか?」

ぎっくり腰は、特定の季節に限らず、年間を通して起こります。
しかし、毎年2月~5月にかけ、花粉症の季節になると「くしゃみ」がきっかけで、
ぎっくり腰になった、と来院される方が増えてきます

鼻がムズムズして、突然やってくるのが「くしゃみ」。
だからこそ、是非知っていただきたい「くしゃみ姿勢」での予防対策法をご紹介します!

ぎっくり腰を起こしやすい姿勢とは?

ぎっくり腰を起こすときの姿勢で圧倒的に多いのが、「中腰」です。
そして、見落としがちなのが、「手を伸ばした姿勢」

「中腰の姿勢」も「手を伸ばした姿勢」も共通点は、【重心線から離れた姿勢】
 と言えます。具体的には・・

くつ下やズボンを履こうとしたとき
物を取ろうとしたとき
ドアノブに手を伸ばした時
椅子から立ち上がる時
ティッシュを取ろうと手を伸ばした時
掃除機をかけた、お皿をテーブルに置いた、冷蔵庫のドアを引いた時

など、まさしくあなたの生活の中で、あらゆる場面に、
ぎっくり腰を引き起こしやすい危険な姿勢は存在しているのです。

なぜ、くしゃみで ぎっくり腰になるのか?

前記のような、体の中心線から外れるとアブナイのはご理解いただけたと思います。
それ以外にも、実はくしゃみが「キッカケ」で腰を痛めることがあります。

その理由は、「腹圧の上昇」です。

気持ちの良い「くしゃみ」はお腹と胸の力で、大量の空気を、すごいスピードで一気に外に吐き出されます。
腹圧を瞬間的に高める時、私達はいちいち考えていませんが、
背中とお腹、そして腰の筋肉を強力に使っています。

必要な動きなのですが、その時の衝撃が、筋肉、靭帯、椎間板などに強いダメージを与え、痛みを引き起こすことがあるのです。

その代表が有名なぎっくり腰。正式には「腰痛捻挫」や「急性腰痛症」といいます。

水を入れた風船は、片側を押すと、反対側に水が移動して、膨らみます。
でも、圧を開放すれば、元に戻りますね。

饅頭(まんじゅう)や大福を、ぎゅっと押して、つぶしたら・・中のあんこは移動します。
圧力が強いと、饅頭の皮からあんこが飛び出してきます。
あの様子は、まさに飛び出す=ヘルニア のイメージに近いでしょう。


くしゃみ=ぎっくり腰=ヘルニアではありませんが、
圧が高まるということは、外に押し出す力が高まるのは事実です。

椎間板は、バームクーヘンのように、何層にも固い層で中心の「髄核(ずいかく)」
というゼリー状の物質を閉じ込めているイメージです。

そこに、圧力が加わり、バームクーヘンの層に小さな亀裂が入ると、そこからゼリーがジュッっと出てしまう・・と言うと、イメージできるかもしれません。
(和菓子も洋菓子もおいしく、いただきます🍀)

くしゃみと姿勢と腰痛・ぎっくり腰の関係には、身体のさまざまな力学的要素が関わっており、じつに興味深いプロセスが含まれています。

以下にその主な力学的要素を簡単にご説明します:

1.空気の圧力と速度:

くしゃみは、空気を深く吸い込む動作と、それを一気に高速で吐き出す動作の2段階です。この時の空気の速度は時速160km(秒速44m)以上~300kmまでに達するとも言われています。新幹線並みです

これは肺に蓄えられた空気が急激に解放されることによって生じます。

※くしゃみを、息止めしたり、鼻つまんで止める方がいますね?周りへの気遣いの現れだと思いますが、腰の為には圧力が中にこもる為、アブナイです。ぎっくり腰だけでなく、肋骨にヒビが入ることもあります。正しいくしゃみ姿勢を覚えて、ご自分にも優しくなりましょう。

①筋肉の動きと力:
くしゃみは、横隔膜や肋間筋(肋骨の間)、さらには腹筋が一気に収縮することで発生します。
これにより胸郭内の圧力が急上昇し、肺から空気が勢いよく押し出されます。

②反射的な制御:
 くしゃみは、異物(ホコリ、花粉など)や刺激物質によって誘発される反射的な反応で す。この過程には鼻の感覚神経が関与し、脳のくしゃみ中枢が反応して一連の筋肉の動きを調整します。

③音と振動:
くしゃみの際の「ハックション」という音は、声帯や気道内の空気の振動によるものです。
声帯の閉鎖から開放までのスピードが音の特徴に影響します。 

④空気の噴射と拡散:
くしゃみによって放出される微粒子や飛沫は、周囲に数メートル以上拡散することがあります。

新型コロナの時期、たくさんの映像を見た記憶があるでしょう。
ここには、くしゃみのエネルギーと空気力学が関わっています。
以前の文献では飛ぶ距離4mでしたが、今は8mという研究もあります。なるほど・・空気の噴射のイメージがわかりますね。

この記事を書いている期間に、当院来院中のIさんが、電車の中で、隣の人が突然大きな音でくしゃみをして、ビクッ!!と驚き、ぎっくり腰になりそうになった、と仰っていたのが、とても印象的でした。

くしゃみは悪いものでもなく、不可抗力で体に必要なことですが、自分のことだけでなく、周りの人にも大いに影響してしまうことがあります。

私自身花粉症の身として、「本当に気を付けなくちゃ!」と思いました。
色んな所から影響を受ける、くしゃみとぎっくり腰の関係ですが、自分だけでなく、周りの方々のためにも、動作と姿勢、そしてマナーにも気を付けたいものですね。
大切なことを患者さまから教えていただきました。

2.力のモーメントを理解しよう

ここまで、くしゃみ・腹圧・前かがみが腰をいためる「きっかけになる」とはおわかりいただけたと思います。
ここでお伝えしたいのは、単に「前かがみ」はアブナイ、気をつけて!というだけでなく、
そこに働いている、力関係を知って、如何に予防するか、といこと。
くしゃみも、前かがみも、生活の中の一部分。無くなりません。
それを良い・悪いで片づけるのではなく、理由、理屈、原理を知って、どうやって危険を減らすか?
どうやって仲良く一緒に暮らすか?という事なのです。

そして、結論は「どうすれば良いか?」
を正しく知って、それを実行していただきたい、のです。

くしゃみとぎっくり腰の関係説明logic

力のモーメントって何?

まず、「モーメント」っていうのは、ものを動かそうとする力の大きさのこと。
シーソーをイメージしてください。シーソーに座る位置が遠いほど、少しの力でシーソーを大きく動かせますね。この「回す力」がモーメントです。
くしゃみをしてぎっくり腰-図1JCC整体
 
力のモーメントはこの様に表せます

  M = F × L × sinθ


M : モーメント
F : 力
L : 支点からの距離

体の角度、姿勢、体の前傾・後傾、頭の位置、手を伸ばしているかどうか?などは、腰の負担量と関係します。
またこれらを上手く利用して、如何に腰痛予防とするかに関係します。
少し復習も含めて見ていきたいと思います。


力(F):
ものを押したり引いたりする力のこと。単位は「ニュートン(N)」です。
くしゃみをしたとき、体には力がかかります。

支点からの距離(L):
シーソーでいうと、真ん中の支点から座る位置までの距離。
体でいうと、腰を支点として、力がかかる場所(手で物を持つ)までの距離と理解してください。

角度(θ):
力がかかる向きと、支点からの距離が作る角度のことです。
頭を前に下げる、下を向く、くしゃみで頭が前にかがめる等、前屈で角度は大きくなります。

M : モーメントは、「力×距離×角度の補正」で計算できます。
距離が長いほど、力が大きいほど、モーメントも大きくなります。

つまり、手を伸ばす姿勢、中腰姿勢、頭が前に傾く、などは腰に負担が大きくかかってくる、ということです。
しかも、くしゃみをして、そこに腹圧がかかると、なおさらのことです。

ここでひと息

先ずは、ここまで読み進めていただき、ありがとうございます。
お疲れさまでした。
もっと詳しく知りたい方は、こちらのページで解説しています

くしゃみ と 腰への負担の関係

中心軸から作用点が遠くなるほど、大きな力がかかることは、わかりました。

中腰になる(腰と頭の距離が遠くなる)
手を伸ばす(腰と手までの距離が遠くなる)

これにより、腰への負担が大きくなるから、
物を持つとき、支点からの距離を短くした方が良いですよ、という説明です。


①手を伸ばしていると、腰からの距離(L)が長くなる。
②肘を脇につけていると、腰からの距離(L)は短くなる。

腰の支点から距離が遠くなるほど、腰でのモーメントが大きくなり、腰にかかる負担が大きくなります。
つまり、

・手を伸ばして物を取る姿勢は、痛める確率が高い。

・くしゃみをする時に、体を前にかがめると、同じ原理で、
腰に大きな負担がかかるため、腰を痛めたり、ぎっくり腰になる確率が上がる、とも言えます。

くしゃみの時に、前屈している、頭が前側に大きく傾いている、手を伸ばしている、重量物を持っている、などは危険が高まります。

例えば、

・前かがみで、中腰のまま靴ひもを結んでいる
・下の物を手を伸ばして拾おうとしている
・そんな時、でっかい くしゃみをしたら・・・・危なそうですね。

でも、くしゃみ=ぎっくり腰 ではありません。
諸条件が関係するからです。

しかし、危険値が上がる状況は事実です。
だからこそ、対策を知ってくださいね、ということなのです。

さらに、これをくしゃみをする時に、どう応用するか?
くしゃみの衝撃を少しでも減らして、ぎっくり腰への危険を減らそう、というのがここでの目的です。

腰にかかる負担・椎間板への圧力

腰にかかる負担や椎間板への圧力は、姿勢や動作によって大きく変化します。
以下のデータは、様々な研究機関や学会で発表されているデータを参考に、一般的な傾向をまとめたものです。わかりやすくするため、「正しい」姿勢、という表現をしますが、「何が正しい姿勢?」興味がある方はこちらを参考にしてください


正しい姿勢で立っている姿を基準としましょう。
(基準を設けないと比較ができません)

 ●椎間板への圧力(腰への負担):100%(基準値)  とします。

●正しい座位: 椎間板への圧力(腰への負担):約140%
解説:立位に比べて、座位では椎間板への圧力(腰への負担)が増加します。 これは、上半身の重さが腰椎に集中するため。

●座位で前屈:
軽い前屈(約30°): 椎間板への圧力(腰への負担):約190%
深い前屈(約60°): 椎間板への圧力(腰への負担):約220%
解説:前屈の角度が大きくなるほど、椎間板への圧力(腰への負担)が増加します。 特に、深い前屈では、椎間板に大きな負荷がかかります。

立位前屈(体を前に曲げる姿勢):
椎間板への圧力(腰への負担):約150〜180%
 解説:立位での前屈も、椎間板に大きな負担をかけます。 もし、そのまま重い物を持ち上げる場合は、さらに負担が増加します。

膝を曲げてかがむ: 椎間板への圧力(腰への負担):約120〜140%
解説:膝を曲げてかがむことで、同じ前屈でも腰にかかる負担が軽減されます。 これは、下半身の筋肉を使って負荷を分散できるためです。

ポイント:
正しい立位と比べると、座位や前屈では椎間板の圧力が大幅に増加します。

荷物を拾う、靴下をはく等、中腰姿勢では手を伸ばして、物を持ったら、この数字より、もっと圧が上がりますから、当然、危険度も上がります。

腰にかかる負担や椎間板への圧力は、姿勢や動作、体人の状況(疲労の累積、筋肉の硬直など)によっても大きく変化します。


では次に、くしゃみをする時、これらを応用して、如何にぎっく越しにならない様に予防するか?を見ていきましょう。

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※これらのデータは、複数の研究機関や学会で発表されている研究内容を参考に、
一般的な傾向としてをまとめたものです。個人差や状況によって数値は異なります。
  
データ根拠と取り扱いについて
これらのデータは、研究機関や学会での研究・発表されている内容を総合的にまとめたものです。バイオメカニクス、人体後学、腰椎にかかる負荷、姿勢と腰痛に関する研究関連ウェブサイトでは、腰痛に関するガイドラインや研究報告が公開されています。

※治療師・治療院関係の方はご自身で検索し、利用してください。
「医中誌Web」と「PubMed」などの論文データベースで、「lumbar load」「disc pressure」「biomechanics of posture」で関連する研究論文を見つけることができます。

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3.ぎっくり腰を防ぐ!「くしゃみ姿勢」の対策方法

ここまで力のモーメントについて、少し詳しく見てきました。
頭は約4~5キロもあって、とても大きな力がかかることは、ご理解いただけたかと思います。

理論は別としても、くしゃみをする時に、対策をするかしないかによって、受けるダメージは大きく異なります。

くしゃみと腰への負担の関係でも述べましたが、

A:腰を支点として、体が前に傾く

B:手を伸ばす+物を持つ、持ち上げる

を比較すると、腰にかかる負担は大きく変わります。

これは、脊椎の傾き+支点からの距離に大きな差が生まれるからです。


Aの場合でも、脊椎が大きく前傾するため、腰への負担が大きくなります。
Bの場合、前傾して、手を伸ばして、物を持ったとしたら、腰への負担が更に大きくなります。

しかし、これらを逆に利用すれば、
腰にかかる負担が減らせることになります。

以上のことから、くしゃみをする際の理想的な姿勢は、以下の通りと言えます。

-対策1:肘を脇に付け、頭を1㎝引く
   (これだけでも、強力にあなたを守ってくれます)

-対策2:地面に足裏着けて、膝を軽く曲げる
    (腰への負担を分散させる)

-対策3:壁や柱・机に衝撃を逃がす。この時も、肘は脇につけて!
   (片手は壁に手を添え、片手は口を押さえる)

-対策4:頭は反ったり、前にかがめない。一息抜いて、くしゃみする
(くしゃみの吐き出す息を止めない・ひと息抜くと腹圧を減少できる)



瞬間的に、これらの動作が出来るかどうか?と心配する必要はありません。立っている時なら

「肘・脇をしめ、手は口に、膝を曲げる」

と理解しておけば良いでしょう。

感染対策としては、手のひらで口を覆うと、しぶきが付いて、更に周りを触ると感染が広がる原因になる、と聞いたことがあるでしょう。

そのため、手で口を押さえる際は、ハンカチやティッシュを使う、または、肘、上腕部の服、袖で口を覆うのが良いとされていますが、その場合も、「肘を開かない様に、脇を付けておく」のがポイントです。

難しく考えず、これらの対策を、一つでも行うことで、くしゃみによる腰への負担を軽減し、ぎっくり腰を防ぐことができますので、
ぜひ、参考にしてみてください。

知らないよりも、知ること。
そして、ひとつ実行することが大切です。

手軽な動作でも、ご自分の体を守ることが出来ます。
どうぞ気を付けていただきたいと思います。


JCC池袋整体院
代表 福井由司


参考:
・日頃からできる腰痛対策

この記事を監修してくださった方


監修者の顔写真

医師:古庄星治 先生

東京大学 医学部卒

部活での怪我や体調不良により大学を中退するも、福井先生の元で治療を受けるとともに、医学に関する向き合い方を学び、再入学・卒業。 現在、医療現場に立ち、日々精進中。