コロナ禍で急増!顎の痛み マスクが要因?
コロナ対策で感染予防に欠かせないマスク。
このマスクの習慣が原因と言われている健康トラブルが今、問題になっています。
ある日突然、顎や口に異変を感じるなんてことも。
「アゴが痛い。口が開かない。カクカク音がする・・」
実は今こうした症状に悩まされている人が増えているんです。
コロナ禍で急増しているのが「顎関節症」。
そのまま放っておくと、食事もろくにとれない!なんてことにも。
誰でも発症する可能性があるのが、顎関節症です。
でも、なぜ・・コロナ禍で急増!しているのでしょうか?
顎関節症とは(より専門的に知りたい方はこちら)
厚生労働省のe-ヘルスネットの情報提供では、「顎関節症とは、顎の関節とその顎に関連する筋肉(咀嚼筋)の病気です。顎の関節と咀嚼筋の問題が混在しているため、混乱されることも多くなっています。(中略)
顎関節症の原因は不明ですので、咬み合わせが悪いとか、体のバランスに問題があるとか、いかにも原因治療としている宣伝に安易に惑わされないことを勧めます。」
また、顎関節症は、顎関節や咀嚼筋の疼痛、顎関節雑音、開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする障害の包括的な診断名です。それには咀嚼筋痛障害、顎関節痛障害、 顎関節円板障害および変形性顎関節症があります。(一般社団法人日本顎関節学会 編 顎関節症治療の指針 2020 より)
1)咀嚼筋痛障害
2)顎関節痛障害
3)顎関節円板障害
a:復位性関節円板前方転位
b:非復位性関節円板前方転位
4)変形性顎関節症
◆顎関節症以外に、鑑別を要する疾患あるいは障害の例
(1)頭蓋内
(2)隣接臓器
①歯および歯周
②耳
③鼻・副鼻腔
④咽頭
⑤顎骨
(3)筋骨格系
(4)心臓・血管系
(5)神経系
①神経障害性疼痛
a.三叉神経痛・舌咽神経痛
b.帯状疱疹痛・帯状疱疹後神経痛
②中枢神経
③破傷風
(6)頭痛
① 片頭痛
② 緊張型頭痛
③ 三叉神経・自律神経性頭痛
※どんな症状でも、その背景に重篤な問題が隠れていることがあります。
顎関節や咀嚼筋周辺の痛み、開口障害、顎関節雑音の問題だけでなく、緊急性を要する問題が存在することもあります。
自分でマッサージしたり、安易に整骨院でみてもらうのでなく、
心配な方は、初めに顎関節症をしっかり診てくれる病院、歯科医での受診をお勧めします。
その上で、まずは下のチェック項目を見てみましょう。
こんなお悩みございませんか?
☑突然口が開かなくなった
☑大きく口を開けると痛みがある
☑硬いものが痛くてかめない
☑口を開けて、大きめのもの食べられない
☑顎を動かすとカクカク音がする
☑動きがスムースでない
☑開閉時で軌道が左右にズレる、きしむ
☑下を向くと顎周りがつれるように痛い
一つでも当てはまれば、あなたも顎関節トラブルの予備軍
実はコロナ禍になってから、こうした症状に悩まされている人が急増しています。
在宅ワークが増えて人と話す機会が減ったり、顔の表情を意識する機会自体が減ったり、外出時、出勤時はずっとマスクをし続けることが日常化している中で、知らず知らずに顔や口周りに緊張、こわばりが出ていることも要因の一つと考えられます。
顎の関節周辺を悪くさせる要因
- くいしばり、噛み癖、歯ぎしり、イライラ、ストレス
- うつぶせ寝、頬杖などの癖
- 食べる時のかみ癖、左右一方で噛む、
- 片側で荷物を持つ、足を組むなど、偏った力がかかる習慣
- 集中時の舌の位置、口をぽかんと開けている、口呼吸など
なかでもストレスからの「くいしばり」はコロナ禍でのマスクが関係していることが考えられます。マスクの締め付けで耳の裏に当たるマスクのゴムひもが痛い、なんてこと、よくありませんか?
耳が押さえつけられる感は、無自覚でしょうが、
四六時中マスクをし続ける生活で、無意識のうちに口周りの筋肉にも力が入り続け、耳周り、首、顎周りなど、身体的な緊張を強いられていることがあります。マスク着用の必要性は言うまでもありませんが、
【小さな力でも、長時間、長期間かかり続けると、大きな力となる】
これはストレスとなります。だからこそ正しく知って、対応することが大切です。
耳の周りには繊細な神経も通っています。
またあごや首の大事な筋肉が付いているのも耳の周辺なのです。
マスクの耳掛けのゴム、紐によって、耳裏、耳の前が絶えず刺激されることで、意外にも顎に力が入ってしまうことにも。また、話していると、ズレ落ちてくるマスク。
マスクの表面は触らない方が良い、触る時はゴム紐で、面倒だから表面つかむと、毛羽立ってくる、それがまた鼻口顔がムズムズして・・経験がありますね。歯を食いしばる癖の始まりのサインの一つ。それは・・・
鏡を見て舌を出してチェックしましょう。もし舌の横や頬の内側に歯形が付いていたら、既に顎関節症の始まりのサインかも。withコロナも長くなり、職場環境や働き方も変わってきました。
在宅ワークでの、環境の変化から心理面、精神面、社会的な影響からも、症状が強まることもあります。長引くコロナ禍による生活環境の変化も現在の顎関節症の急増の要因になっているとも考えられています。特に こんな人は注意が必要です。
要注意① 猫背:猫背は顎の関節に負担がかかります。
要注意② うつ伏せ:うつ伏せで寝る人も顎関節症になる危険があります。ほかにも顎周辺の痛みを引き起こす要因は下記のもの。
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- 虫歯、歯周病などによる歯の喪失
- 歯の摩耗、詰め物の欠損、高さの合わない被せ物や入れ歯
- 歯のかみ合わせがあわない
これらの歯自体の問題がある人は、歯医者さんによく相談しましょう。
当院での顎関節周囲の症状へのアプローチ
じつは私自身が子供の頃から、かみ合わせ、歯並び、顎のズレの違和感に悩んでいました。
虫歯の治療に行って型取りする時も、前歯で合わせるのか、奥歯で噛むのか、どの位置に前歯や顎を合わせて噛めば良いのやら?小学3年生の時に戸惑っていたことを、はっきりと覚えています。
だから患者さんの悩みやつらさや不安もわかります。
私自身が顎関節症をずっと治したかった患者のひとりだからです。
実は、カイロプラクティックカレッジ卒業時の私の卒論テーマは
【顎関節症について】
35年前当時はインターネット情報は全くなく、歯科医師向けの専門書や専門雑誌を何冊も積み上げました。大学では英文科だったこともあり、辞書を片手に翻訳することには慣れていましたが、それでも英語の専門書には閉口しました。
●顎関節の理解とアプローチ法
◆左右の下顎頭が下顎窩の一番安定した位置に収まっていること。
◆下顎は固定されているのではなく、上顎に対する下顎の位置関係を正す。
◆下顎は左右顎関節を軸として安定した蝶番運動をする軸運動の状態である。
◆咬筋、側頭筋の特徴を理解して調整する。
◆内外側翼突筋、関節円板、下顎頭のユニットとしての働きを認識する。
少し難しい言葉がたくさん出てきて、わからりにくいかもしれませんが、これらの基礎的考え方を元に、あなたのつらい顎関節症状を軽減させるお手伝いをさせていただきます。
●顎関節の動きを理解する
顎は頭の骨にぶら下がった状態なので、口の開け閉めをすると、”多少は”音がしやすいものです。それをイコール顎関節症と心配する必要はありません。
心配な方は専門医にみてもらいましょう。
以下の難しい名前の筋肉をあなたは理解しなくても大丈夫です。
あなたの顎関節を動かす時に、どの筋肉がうまく動かないかを私がチェックする箇所です。
(閉口運動) 側頭筋前部
側頭筋後部
咬筋浅部
内側翼突筋
外側翼突筋(上頭)
(開口運動) 外側翼突筋(下頭)
顎二腹筋(後腹)
側頭筋後部
顎舌骨筋
オトガイ舌骨筋
(側方運動) 外側翼突筋
側頭筋後部
顎二腹筋(後腹)
(前方運動) 側頭筋前部
咬筋浅部
内側翼突筋(口腔内触診はしておりません)
外側翼突筋(口腔内触診はしておりません)
(後方運動)顎二腹筋
側頭筋後部
また、これら筋肉の神経支配はどこから出ているか?が大事になります。
電線の出どころの電信柱に問題があることもあります。
それによって、頸椎の何番目に問題があるか?頭蓋骨の調整が必要かなどを判断します。
●顎関節の調整法
1、骨格調整〈足首、股関節、骨盤、背骨、鎖骨、肩甲骨、頸椎、頭蓋骨〉
主に手を用いて、下記のような、お顔、頚周辺の骨格と筋肉調整も行います。お顔に触れるときはソフトな力で軽く触れる程度の圧力です。頭蓋骨調整は気持ち良い感覚です。場所により、もしお痛みや不安を感じる時は遠慮せずお申し出ください。
顎関節の下には、骨格で直接支える部位はありません。
顎は下顎の骨が、側頭骨にぶら下がっている状態と理解すると良いでしょう。
ですから、骨盤のゆがみ、背骨、骨格のゆがみがあると、肩甲骨、鎖骨のひずみ、首の骨の傾きやすくなります。これは頭蓋骨の傾きに繋がり、結果として顎の位置が乱れやすくなるのです。
肩こりや頭痛、頬の筋肉痛もよく見られる症状です。首の調整にはアクティベーターという調整器具を用います。首とお顔の骨格調整に際し、下記のような筋肉も合わせて調整します。
2、筋肉調整〈顎周辺、咀嚼筋の調整〉
咀嚼筋(咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋+顎二腹筋)と胸鎖乳突筋は重点箇所です。
顎関節の調整には下顎の調整が大切です。
口の開閉には咀嚼筋(そしゃくきん:噛む筋肉)が関係します。
【関節調整の為の主な表層筋】
◆咬筋
◆側頭筋
【開閉と下顎を前に出す深部筋】
◆外側翼突筋、内側翼突筋
(※顔表面のマッサージでは触れられません)
これら筋群と関節円板、下顎頭のユニットをもとに
「コントロールされたもっとも適切な下顎の位置」を取り戻していきます。
◆顎関節から肩こり、首こりも!合わせて調整いたします。
浅頚筋群:広頚筋(表情筋)
側頚筋群:胸鎖乳突筋
前頚筋群:舌骨上筋群:顎二腹筋(前腹=下顎神経、後腹=顔面神経)
茎突舌骨筋(顔面神経)、顎舌骨筋(下顎神経)
オトガイ舌骨筋(開口・嚥下運動)
舌骨下筋群:胸骨舌骨筋
肩甲舌骨筋
胸骨甲状筋
甲状舌骨筋 開口・嚥下運動。C1~C4
後頸筋群:椎前筋群:頸長筋、頭長筋、前頭直筋、外側頭直筋
斜角筋群:前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋
※顎関節症の方は、顎周辺は触れるだけで痛い場所もあります。
強い力でグリグリ押したりすることはありません。
痛いのを我慢したらよくなる、ということもありません。
お痛みや不安を感じる時は遠慮せずお申し出ください。
●くいしばり対策 意外な調整ポイント
◆顎二腹筋(がくにふくきん)
口を開ける、横移動、後ろに引く動きに関わるのは顎二腹筋という筋肉です。
二腹という名称どおり、前と後ろに分かれます。
口を開けるのは前腹
側方、後方運動が後腹 です。
歯ぎしりは強くかみしめた状態で、下顎を左右側方や後方に強く引きつける動作です。
寝ている間は意識もしないし、名前さえ知らなくても、あなたの顎二腹筋が強く働いているのです。
顎二腹筋後腹は下顎を前から戻すときにも使っています。
例えば、顎先が左に寄りやすい私は、左の顎二腹筋後腹、側頭筋後腹が、右の外側翼突筋と共に緊張しやすいのです。障子やふすま、引き戸を思い浮かべてください。溝、レール部分の収まりが悪いと、抵抗が出て、スムースに動きにくく、動かすにも余分な力が必要です。
筋肉の一般的な性質として、抵抗があると筋緊張が高まります。
その状態が続くと筋肉は疲労して痛みが出やすい状況になります。
それは歯ぎしりの際の顎二腹筋でも同じこと。顎二腹筋という筋肉自体は決して大きなものではないのですが、しらずのうちにずっと噛みしめていたり、強い収縮が続くと疲労しやすくなります。
施術時、顎二腹筋が付着している近くを触れると圧痛を感じる方はとても多くいらっしゃいます。
この様な事を、顎の動きを見ながら、調整をしていきます。
じゃあ、自分ではどうすればいいの?ということで・・
●超簡単!顎関節症 セルフケア術
音がする~開けにくい~痛みがある・・まで色んな段階がありますが、殆どの場合、大切になってくるのは日常でのセルフケア。
ここで顎関節症対策のセルフケア術をご紹介します。
顔のストレッチで超簡単!ケア
●簡単セルフケア術3つ
A 顎の筋肉をマッサージする:
①左右の手で顔をはさみます。右手で圧をかけ固定します。左手の平で左の耳の前をっ前回し10回、後ろ回し10回。左右両方共に行います。ポイントはゆっくり、大きく。
②エラ(下顎角)を親指でひっかけ、優しく前後左右にゆさゆさ10秒マッサージ。
③フェイスライン、顎のラインを親指と4本の指で挟んで10秒マッサージ。
耳下のエラの部分からアゴ先まで。3か所に分割して、揺する様に、左右共。
※こめかみは押さないようにしましょう!
B 口を開閉するストレッチ
左右の手で頬を押さえて、数回口を開閉してチェックする。
①口を開ける時に先に動き出す側:
手のひらで頬を押さえて、こめかみに向かって手を持ち上げながら、口を開ける。
②次に口を閉じる時に先に動き出す側:
手のひらで耳前の頬を押さえて、手で下げながら、口を閉じる。
③慣れないうちは片側ずつ、慣れたら両方一緒にやってもOK。
C 頬を膨らませて、伸ばすストレッチ
①右左交互に空気でぷくっと膨らます。
やりにくい側や少し痛みを感じるかもしれません。5秒キープ。左右交互に5回行います。
②今度は舌で頬を内側から押して、全体を右回し、左回し。5回
顎の痛みを感じるのと反対側がやりにく場合もありますが、両側同じようにやってみましょう。
鏡で見ると、あなたの顎先がどちらを向きがちですか?
左に寄っている人は、反対の右側の頬の内側がやりにくい、もしくは筋肉が硬い傾向があります。
1日3回、気づいた時にやるのが長続きのコツです。先ずは2週間続けてみて下さい。
今の症状が少し和らぐ感じが得られると思います。
他にもセルケア方法はたくさんありますが、またの別の機会にお伝えしましょう。
噛み合わせと全身との関係
噛み合わせは、顎の運動や全身の骨格とつながっているため、相互に影響を与えることが、よく言われています。
噛み合わせや本当の顎関節症を治そうと思うならば、歯科医に行く必要があります。
顎関節症と顎周りの違和感を混同しないようにしましょう。
上記で挙げたように、背景にもっと大きな問題が潜んでいることもあるからです。
軽く考えて治療を受ける機会の損失やタイミングが遅くなることは避けなければなりません。
その上で、症状の改善が見られない方、
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- 肩こり、頭痛、首の痛み
- 顎周辺の痛み
- 口が開けにくい
- 口を開けるとゴリゴリ音がする
などがのお悩みが消えない方はご相談ください。
顎周辺の痛みやこわばりが気になって、集中力の低下を訴える人もいます。
私も歯医者さんには定期的に通院し、口腔ケアを欠かさず受けています。
正しい噛み合わせは、虫歯や歯周病の予防にも役立つそうです。
また、一部の歯に余分な力がかかることでの摩耗や破損、歯根・歯肉へのダメージを予防もできる、と聞いています。
悪くなってからではなく、悪くさせないために。それが予防ケアです。
もし、あなたがまだ顎関節周囲のトラブルでお悩みなら、きっとお役に立てます。